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遮熱塗料・断熱塗料について知りたい方へ

表面に塗装するだけの簡単施工で夏場の電気代最大40%コストダウンすることが出来る遮熱塗料のミラクールのコラム

遮熱塗料で一番効果の高いのは何色?

遮熱塗料で一番効果の高いのは何色?

前回のコラムでも少し触れましたが、遮熱効果が一番高い色は白色です。

遮熱塗料が一般塗料と大きく異なる点は、太陽光の目に見えない光の波長を反射することです。しかし、目に見える光(色として認識できる光の波長)は色でしか反射できず、じつは反射を色に頼る部分も大きいのです。したがって、同じ遮熱塗料でも色によって遮熱効果は大きく異なります。「外壁がクリーム色だから、屋根は濃い茶色かな…」「ラッキーカラーが青色だから」など、屋根の色を決める基準は様々だと思いますが、遮熱効果を重視する場合はできる限り薄い色で塗っていただくことをおすすめします。

太陽光を効率よく反射する色とその理由

 

では、色の見え方について少し掘り下げてみます。

私は小学校5年生ぐらいまで、白黒写真を見て「昔は白と黒しかない世界だったのか。色を発明した人に感謝だな」と本気で思っておりました。しかし、当然のことながら実際は今も昔も世の中は色で溢れており、色は私たちの目を楽しませてくれ、生活を豊かにしてくれます。ちなみに、カラー写真は1970年代から普及しはじめたようです。写真のカラー化に尽力された方々に感謝ですね。

話が逸れましたが、私たちは色をどうやって認識しているのでしょうか。

真っ暗な田舎道の郵便ポストを思い浮かべてみてください。

車のライトでポストを照らせば、赤色がはっきりとわかります。しかし、明かりも何もない状態でポストに近づいても色はわからず、月明かりで少し茶色っぽく見えるかもしれません。つまり、物体の色は十分な光を浴びないとわからないのです(テレビなど、自ら光を発しているものは除く)。ポストが赤く見える理由は、ポストに光が当たったときに、ポストが赤色の光だけを反射し、赤色の光だけが私たちの目に入るからです。それ以外の反射されなかった光はどこに行くのかというと、物体に吸収され、熱に変わります。

普段から何気なく見ている色が、どのような過程を経て認識されるかについて考えるのも面白いですね。周囲が暗いと色がわからない感覚は幼いころから持っていましたが、光の反射を受けて色を認識しているという感覚はありませんでした。光を反射している色ほど白く見えるため、遮熱塗料もより白色に近い色を選ぶことで高い遮熱効果を得られます。逆に、黒っぽく見える色は光を吸収して熱くなってしまうので、暑さ対策をしたいときはできるだけ白色を選びましょう。

遮熱塗料の標準化について

遮熱塗料の標準化について

標準化ってなに?

3月5日(土)14:00-15:00 BSフジにて放映された「みんなが得するビジネス講座」という番組で、標準化の話が面白くかつ分かり易く説明されていました。
標準化の始まりは、アメリカのある街で大火事が発生した時に、周辺の街から多数の消防車が応援に来たのに、消防ホースの接続方法が統一されていなかったために、全く役に立たず大惨事になってしまったことがきっかけとのことでした。

遮熱塗料の標準化(その1)

高日射反射率塗料の性能の肝である日射反射率を測定する方法は、JIS K 5602「塗膜の日射反射率の求め方」で規定されています。そして、この規格を元にISO 22969「Paints and varnishes-Determination of solar reflectance」が定められています。 遮熱塗料の性能の殆どは、日射反射率に依存しているのですが、世の中には熱を伝えない断熱塗料とか、熱を放射して冷やす放熱塗料とか、熱を消してしまうという消熱塗料など、使用者に対して混乱や不信感を与えている可能性があると思われます。

遮熱塗料の標準化(その2)

そのような混乱を解決するために、塗膜を通過する熱エネルギーを熱流計で総合的に測定する方法が考案され、JIS K 5603「塗膜の熱性能-熱流計法による日射吸収率の求め方」という規格で客観的かつ論理的に測定できるようになりました。
一般社団法人 日本塗料工業会では遮熱機能とは「日射反射機能」・「断熱機能」・「放熱機能」の総和との認識のもと、JIS K 5603による日射吸収率の測定を行った遮熱塗料の登録制度を行っていますが、日射反射機能以外での申請は皆無ということです。裏を返せば、断熱機能と放熱機能だけでは日射吸収率を抑えることができないということです。因みに、熱を消すという消熱塗料は物理学上あり得ないことであり、審査の対象にもなっていません。
「みんなが得するビジネス講座」でグリーン建材②として高日射反射率塗料が紹介されていました。尚、グリーン建材①は節水トイレでした。 JIS K 5603は日本独自の規格ですが、もしISO規格にできれば世界的な標準化を図ることが可能になり、遮熱塗料を世界に広める絶好のチャンスとなり得るかも知れません。
外壁塗装の塗料の色の選び方・色で耐久性の違いが出る?

外壁塗装の塗料の色の選び方・色で耐久性の違いが出る?

色と反射率の関係について

以前のコラム (遮熱塗料で一番効果の高いのは何色?)で遮熱効果が一番高い色は白だとお話をしました。

とはいえ、周りの家との兼ね合い、コーポレートカラーなどの理由で、屋根の色はどうしても濃い色を選ばないといけないこともあります。
そんなときは、「現状の屋根の色と同じか、それよりも少し薄い色」をおすすめします。前回のコラムでも話したとおり、色が持つ反射の力は大きいので、現状の屋根の色よりも濃い色で塗り替えてしまうと、十分な遮熱効果を発揮できない可能性があるので注意しましょう。

世の中の屋根の色はなぜ黒が多いのでしょう?

一般的に、戸建て住宅の屋根は暗い色が多いイメージです。屋根材メーカーが多くの色のラインナップを取り揃えていますが、実際に目にするのは黒や茶色などの暗い色がほとんどです。
これまで何度も「屋根の遮熱をするなら白色が一番!」「なるべく薄い色で!」などと偉そうに申し上げてきた私も、じつは家を建てたときに選んだ屋根の色は、漆黒でした(せめてもの抵抗で、遮熱仕様にはしましたが…)。黒を選んだ理由は、「デザイン性」と「汚れの目立ちにくさ」です。戸建て住宅の屋根は人目につくため、外壁の色とマッチしていなかったり、汚れていたりするとすぐ噂になります。当時、屋根の色を何色にしようかという打合せの折に、ハウスメーカーの担当者が「なるべく薄い色の方が遮熱性は…」と話してくれましたが、遮熱性や遮熱塗料メーカーに勤めるプライドよりも周りの目を重視する私は、屋根の色選びで迷うことは一切ありませんでした。戸建て住宅の屋根に暗い色が選ばれる理由は、私と同じような理由が多いのではないでしょうか。戸建て住宅はやはり外壁が華なので、屋根は外壁を邪魔しない暗い色が多く選ばれる傾向にあると思います。

白い屋根で遮熱以外のメリットは?

屋根の勾配が緩やかで、屋根の色が人目につかないような建物には、何度も言いますが白色をおすすめします。特に金属屋根の場合は、熱による屋根の伸び縮みが無くなるので、夏場の屋根の音鳴りが治まる事例も報告されています。屋根の度重なる熱収縮は屋根部材の劣化を早めますので、遮熱塗料は室温低減や空調費削減のみならず屋根の寿命を延ばすことにも繋がります。

塗料の色で耐久性に違いは出る?

塗料の耐久性は樹脂の種類(ウレタン、シリコン、フッ素など)で大部分が決まるので、同じ種類の塗料で色によって耐久性に差が出るということはほとんどありません。しかし、色によって色褪せが目立つ色と目立たない色があります。一般的に色褪せが目立つ色は鮮やかなものが多く、赤、紫、黄、緑が当てはまります。特に赤はよく色褪せ、東京タワーも5年に1度の周期で塗り替えているようです(最近は塗装仕様の変更で7年周期に延びたとのこと。素晴らしい!)。逆に、色褪せが目立たない色は、白、黒、青が当てはまります。
塗料を選ぶ際は、色褪せしやすいかどうか、というポイントも抑えて色を選んでみてください。

ガラスに塗る遮熱塗料はあるのか?

ガラスに塗る遮熱塗料はあるのか?

建物の屋根や壁で太陽の直射日光が当たって暑くなるところには、遮熱塗料が最適なのは明らかです。
では、ガラス窓に塗る遮熱塗料ってあるのでしょうか?
答えはノーでもありイエスでもあるという複雑なものです。

室温の上昇を防ぐ塗料はあります

しかし、近赤外線を吸収するタイプの透明な窓ガラス用の塗料は世の中に沢山あります。
可視光線を透過しながら近赤外線を吸収するタイプの塗料も遮熱塗料というのであれば、窓ガラス用の遮熱塗料はあるということになります。この種の塗料は近赤外線を吸収することによって、窓ガラスを透過する近赤外線の量を減らして室内温度の上昇を防ぐものです。では、窓ガラス表面の塗料が吸収した近赤外線のエネルギーは何処に行くというと、窓ガラスを熱くすることに使われます。

窓ガラス塗料が室温上昇を抑える仕組み

この熱くなった窓ガラスからは室外と室内の両方に向かって放射と対流によって熱が移動します。室内と比べて屋外側の風が強いことが多いので、対流による熱伝達量が多くなるので、結果として室内に入るより屋外に逃げる熱量が多くなり、室温上昇を抑える結果となります。

温度差によるガラス窓割れに注意を

ただし、気を付けないといけない点があります。窓ガラスが均一に熱くなる分にはさほど問題にはなりませんが、隣地の建物などの影が窓の一部に掛かってしまう場合には、一枚の窓ガラス面で熱くなるところとそうでないところが出来てしまいます。
ガラスも温度によって伸縮する性能がありますので、この温度差によってガラス面が歪み、場合によってはガラス窓が割れてしまいます。網入りガラスは、網部分があるために外周の切断面が平滑ではないので、特に割れ易くなると言われています。

近赤外線を吸収するキモの原材料

近赤外線用を吸収する透明塗料を配合設計する際のポイントは、ナノサイズに調整された赤外線吸収剤を最適量で混合することです。赤外線吸収剤としては以下の材料が使用されています。

 ・ITO(スズ酸化インジウム)
 ・ATO(アンチモン酸化スズ)
 ・LaB6(六ホウ化ランタン)
 ・CWO(セシウム酸化タングステン)

LaB6とCWOは住友金属鉱山株式会社が開発した素材のようです。

http://www.smm.co.jp/products/material/ink/
これらの素材を塗料に混合することによって、可視光線の透過率はある程度確保した上で、近赤外線を吸収する性能を付与することが可能となります。

窓ガラス用の遮熱フィルムはあるのか?

答えはイエスです。
窓ガラス用の(近赤外線を反射するタイプの)遮熱塗料は未だ無いですが、窓ガラス用の(近赤外線を反射するタイプの)フィルムがあります。また、近赤外線を吸収するタイプのフィルムも沢山あります。赤外線を吸収するタイプのフィルムには前述のITOやATOなどのナノサイズの原材料が均一に分散されています。

窓ガラスに塗る遮熱塗料は無い

答えはイエスです。
窓ガラス用の(近赤外線を反射するタイプの)遮熱塗料は未だ無いですが、窓ガラス用の(近赤外線を反射するタイプの)フィルムがあります。また、近赤外線を吸収するタイプのフィルムも沢山あります。赤外線を吸収するタイプのフィルムには前述のITOやATOなどのナノサイズの原材料が均一に分散されています。

近赤外線を反射させるフィルム

1.真空蒸着

では、近赤外線を反射するタイプの遮熱フィルムはどのような原理で機能するのか整理してみましょう。反射機能を発現させるためには次の方法が考えられます。
真空蒸着の仕組み

多くのメーカーが採用している技術です。ハーフミラーのように反射させるフィルムは可視光線の透過が少なく、透明性に欠けることが多いようです。
(下記詳細は、ウィキペディアより引用)

真空にした容器の中で、蒸着材料を加熱し気化もしくは昇華して、離れた位置に置かれた基板の表面に付着させ、薄膜を形成するというものである。蒸着材料、基板の種類により、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱される。蒸着材料は、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケルなどの金属類と光学特性を有する薄膜(光学薄膜)では主にSiO2、TiO2、ZrO2、MgF2などの酸化物やフッ化物を使用する。蒸着は金属の他、樹脂や硝子等にも利用され、紙などにも処理が可能である。

2.スパッタリング

帝人フロンティア株式会社のレフテルに代表される透明性を維持しつつも、近赤外線を効果的に反射するタイプのものです。
(下記詳細は、ウィキペディアより引用)

スパッタリングはいわゆる「乾式めっき法」(真空めっき)に分類され、コーティングする対象物を液体や高温気体にさらす事なくめっき処理が出来ることが特徴である。
真空チャンバー内に薄膜としてつけたい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素(普通はアルゴンを用いる)や窒素(普通は空気由来)を衝突させる。するとターゲット表面の原子がはじき飛ばされ、基板に到達して製膜することが出来る。
原理も単純であり「スパッタ装置」として各種あることから、様々な技術分野で広く使われている。 最近では、高品質の薄膜が要求される半導体、液晶、プラズマディスプレイ、光ディスク用の薄膜を製造する手法として用いられている。

3.マルチレイヤー

3Mジャパン株式会社のマルチレイヤーNANOシリーズは、ナノテクノロジーを駆使して、200層を超える屈折率の異なる透明な膜を重ねることで、高い透明度と近赤外線の反射効果を持つフィルムです。窓ガラスに斜めから入射した近赤外線を室内に入射させずに、効率的に正反射させるものです。

4. 熱線再帰性

微細加工された山形の特殊な反射膜により、上方からの近赤外線を上方に反射させ、地表に向かう熱線を低減する遮熱フィルムです。壁面ガラス建築から地面や周囲に反射する近赤外線による熱害、光害、ヒートアイランド現象の抑制を目的として開発されたということです。デクセリアルズ株式会社が開発し製造販売しています。

近赤外線を吸収するフィルム

近赤外線用を吸収するフィルムは近赤外線を吸収する塗料と同様に、ナノサイズに調整された赤外線吸収剤を最適量で混合されています。繰り返しになりますが、赤外線吸収剤としては以下の材料が使用されています。

 ・ITO(スズ酸化インジウム)
 ・ATO(アンチモン酸化スズ)
 ・LaB6(六ホウ化ランタン)
 ・CWO(セシウム酸化タングステン)

防犯や怪我防止の効果

尚、いずれのタイプのフィルムも、万一の際にガラスが割れて粉々になるのを防ぐ「飛散防止効果」があります。
窓ガラスを割られて侵入されるのを防いだり、地震や飛散物によるガラスの割れ・飛散を防ぐことが期待できますので、怪我の防止にも役立ちそうです。飛散防止効果はフィルムの強度・厚さによって違いがありますので、メーカーの仕様書を確認してください。

飛散防止の窓

最近は異常気象により竜巻による被害も毎年のようにニュースになっています。窓ガラスが割れると、そこから強風が一気に家の中に吹き込みますので、最悪の場合には屋根が飛ばされたりもします。窓ガラスが割れたとしても、フィルムが飛散を防いで切れれば、被害を最低限に抑えることが可能かも知れません。

選択肢はいろいろ

フィルム

どのフィルムが最適なのかは、求める透明性と近赤外線カット率などを総合的に考える必要性があります。

 ・外の景色は見えなくても、室温上昇を防ぎた  い?
 ・外の景色はこれまで通りに見たいので、室温上昇の抑制は最低限でも止む無し?
 ・外の景色も見たいし、室温上昇も抑えたいので、双方のバランスが取れた商品が良い?
等々、先ずは要望内容を整理しましょう。
そして、ネットやカタログで商品情報を集めて、各社製品の性能と価格を比較検討して、どの製品を購入するかを決めては如何でしょうか。

遮熱性舗装

遮熱性舗装

読んで字がごとく、遮熱性能を有した舗装のことを遮熱性舗装と呼びます。
路面温度上昇抑制舗装研究会では新規作成供試体に対して10℃以上の温度低減効果があるものとしています。
我々が研究に着手したのは西暦2000年でした。ヒートアイランド現象や地球温暖化現象が大きく取り上げられた最初の頃だったと思います。実際に採用され始めた2004年の夏は記録的に暑くて、マスコミが遮熱性舗装を大きく報じたことが昨日のことのように思い出されます。

因みに、日本の最高気温の記録を調べるとベスト?ワースト?はこのような結果です。(気象庁の過去データによる)

順位 都道府県 地点 観測値(℃) 起日
1 静岡県 浜松 41.1 2020年8月17日
埼玉県 熊谷 41.1 2018年7月23日
3 岐阜県 美濃 41 2018年8月8日
岐阜県 金山 41 2018年8月6日
高知県 江川崎 41 2013年8月12日
6 静岡県 天竜 40.9 2020年8月16日
岐阜県 多治見 40.9 2007年8月16日
8 新潟県 中条 40.8 2018年8月23日
東京都 青梅 40.8 2018年7月23日
山形県 山形 40.8 1933年7月25日

 

アスファルト舗装

当社が遮熱塗料という言葉を使うときは、「近赤外線の反射」+「放射」+「断熱」の三位一体で熱の侵入を抑えるものと定義しています。塗膜は薄いので断熱はオマケ程度であり、遮熱効果の効き目の順序は、近赤外線の反射>放射>断熱の順になります。

ですから、遮熱塗料のことを専門用語で高日射反射率塗料と呼ばれ、決して断熱塗料や放熱塗料とは呼ばれません。
この観点からいうと、窓ガラスに塗る遮熱塗料はありません。

日本ペイントさんが可視光線を透過する遮熱塗料の開発をされていますが、可視光線(380~780nm)を全て透過できませんし、コスト的に未だ実用化されていないようです。

参照 : 赤外線反射型透明遮熱塗料 | 日本ペイントホールディングス (nipponpaint-holdings.com)

従って、近赤外線を反射する透明な窓ガラス用の遮熱塗料は未だありません。

室温の上昇を防ぐ塗料はあります

太陽光線中の特に近赤外線領域を反射する性能によって、太陽が当たる物体の温度上昇を抑制する機能を遮熱性能といいます。道路には白線がありますので、余り白っぽい道路にすると白線の視認性が悪くなりますので、道路は黒っぽくする必要があります。そういう訳で、車道に使われる遮熱塗料は濃いグレーにしていますが、人間が見えない近赤外線を反射しているので、夏場でも余り熱くならない仕組みです。
人間には見えないけれど、太陽エネルギーの約半分を占めている近赤外線を効果的に反射することがポイントです。

遮熱性舗装の目的は?

遮熱性舗装には様々なメリットがありますので、ひとつずつ確認してみましょう。

ヒートアイランド対策

環境省によると、100年間の日本の平均気温上昇が1.5℃に対して東京の平均気温上昇は3.3℃にもなっており、約2倍にも及んでいます。この差はヒートアイランド現象によるものだと考えられています。また、他の主要な都市でも同様傾向が見られるとのことです。東京以上に暑さを感じる大阪や名古屋に限らず、長野市や仙台市でも同様の傾向があるとのことで、ヒートアイランド現象は大都市だけの問題に限ったものではないようです。
2018年は全国的に猛暑日が多く、熱中症による搬送者数は過去最悪の98,137人に達したそうです。そして死者数は160人にも及んでいます。
2019年は猛暑日が少しだけ減り、搬送者数は71,317人、死者数は126人と減少しましたが、地球温暖化由来といわれる気候の変動により、毎年のように熱中症による被害者が後を絶ちません。

では、遮熱性舗装でどの程度ヒートアイランド現象の対策になるのかですが、関連する論文から抜粋してみたいと思います。

東京23区内の道路用地に遮熱性舗装を施工した場合、舗装のアルベド増と表面温度が低下したことに起因して、都心部の大気温度は低下し、正午には0.8℃以上、午後2時でも0.6℃以上の気温低減効果が認められるそうです。
(計算条件)
・アルベド14% → 60%へ増加
・夏期晴天日を想定
(引用)第25回日本道路会議論文 2004年 木内氏他
アルベド(albedo)とは、天体の外部からの入射光に対する、反射光の比である。反射能(はんしゃのう)とも言う。0以上、1前後以下(1を超えることもある)の無次元量であり、0 – 1の数値そのままか、0 % – 100 %の百分率で表す。
(出典:ウィキペディア)

快適性の向上

遮熱性舗装によってその上を歩行する人間や、周囲に与える影響はどうなのでしょう?最新の論文によると、次のような利点が挙げられています。

・再帰性反射の大きい遮熱性舗装は、人体が吸収  する舗装からの水平直達日射の反射量を低減する効果がある。
・舗装の路面温度が歩行者の熱環境に影響を及ぼし、路面温度の低下が歩行者の熱環境改善に寄与する。

(参照)第32回日本道路会議(2017年)田中氏他
また、多くのアンケート調査が実施されていますが、その全てにおいて快適性の向上が確認されています。

遮熱性舗装による路面温度の低減効果により、全身及び足元部で「暑い」と回答する割合が低下し、とりわけ全身よりも足元部で違いを感じるようです。

(参照)第27回日本道路会議(2007年)井上氏他
我々も日本及びシンガポールで遮熱性舗装だということを告げずにアンケート調査を行いましたが、いずれも遮熱性舗装上が一般舗装上より暑熱感が減少する結果という結果となりました。
(写真)シンガポールのZEB(ゼロ エネルギー ビル)の敷地に塗装された遮熱性舗装
(写真)シンガポールのZEB(ゼロ エネルギー ビル)の敷地に塗装された遮熱性舗装

熱帯夜の抑制

東京都の実測によると、熱帯夜の夜間(22-5時)の路面温度を比較すると、遮熱性舗装を施した車道の表面温度は一般車道より平均約2.0℃低いということです。
(参照)雑誌舗装 51-5(2016年)斉藤氏

わだち掘れの抑制

最近のアスファルト道路は改質剤というものが混合されており、以前に比べると高温化による流動性は少なくなりました。筆者のように映画の「三丁目の夕日」の時代に育った世代では、夏にアスファルト道路がぐにゃっと柔らかくなる経験がありますが、最近ではアスファルトに改質剤というものを添加したりして随分と改善されています。しかし、それでもアスファルトは50℃以上になると流動性が増えて(柔らかくなって)、車道の走行路部分にわだち掘れが出来やすくなります。遮熱性舗装を施した道路では、50℃以上になりにくいので、わだち掘れの発生を抑えることが可能になるのです。

一般の車道に限らず、空港の誘導路でも効果があったという事例があります。数百トンもある旅客機が頻繁に走行する誘導路には大きなわだち掘れが出来てしまうのが一般的ですが、遮熱性舗装を施した誘導路ではわだち掘れの深さが二分の一以下に抑えられ、しかもその効果が4年以上も持続することが確認されています。

(参照)土木学会第65回年次学術講演会論文2010年 吉中氏他

道路の耐久性の向上

一般的に車道の平坦性が一定の数値以上に損なわれた場合にはアスファルト舗装の打ち直しになります。前述のとおり、遮熱性舗装によってわだち掘れが減ることから、アスファルト舗装の打ち直し期間を延ばすことが可能になります。
首都高速道路ではレインボーブリッジを過ぎた後の下り勾配で、わだち掘れができ、更にわだち掘れの凹みに亀裂が生じて毎年何度も緊急補修されていたそうです。それが、遮熱性舗装を施した翌年は緊急補修が全く無くなったとのことです。アスファルト舗装の内部温度が60℃から45℃に下がったことがその理由とのことです。
(参照)雑誌舗装 49-2(2014年) 藏治氏
補修工事による渋滞が減るということは、渋滞による経済的損失も減らせることができるといえそうです。

景観の向上

遮熱性舗装はアスファルトなどの舗装の上に耐久性の高い専用の遮熱塗料を散布するものです。遮熱塗料は近赤外線を反射しつつ、可視光線は望まれる色に調色することが可能ですので、用途によって様々な色を提供することができ、公園では自然色に合わせたり、交差点付近では注意喚起のためのベンガラ色(赤茶色)などにすることも可能です。

滑り抵抗性の確保

舗装に最も求められる性能は安全性です。車道においてはスリップによる事故が起こらないように滑り抵抗性を確実に確保することが重要です。
一般的に英国の道路研究所で開発された試験器(ポータブルスキッドレジスタンステスター)にて測定します。この試験機で測定した値がBPN値(すべり抵抗値)です。
測定する舗装材に散水して、振り子の先に取り付けられたゴム製のスライダーを反復運動させて、道路の測定面と接触し滑り抜ける時に生じる抵抗を目盛りで読み取ります。その他にも、日本で開発された方法で、一般には「DFテスター」と呼ばれている測定器や特性試験車で測定する方法などがあります。
路面温度上昇抑制舗装研究会では遮熱性舗装の滑り抵抗性はBPNで車道においては60以上、歩道においては40以上を推奨しています。
速乾性
道路工事は渋滞を引き起こし、時間のロスに伴う経済的損失を生じてしまいます。渋滞を最低限に抑えるために、遮熱性舗装の施工はできるだけ短時間で行うことが要求されます。車道用に使用されている遮熱塗料は2液タイプの超速乾性を持ったものが使用されています。

耐久性

遮熱塗料のはがれにくさを測定する方法が考案されています。「ねじり法」と「打撃法」の2種類による剥がれ面積を測定することによって、遮熱性舗装の耐久性を担保することとなっています。
温度低減の持続性に関しては、東京都では2008年から本格導入され2014年度末までに65kmも施工されてきましたが、施工後5年経過しても約7~9℃の路面温度の抑制効果が持続しているということです。
(参照)雑誌舗装 51-5(2016年)斉藤氏
また、国土交通省 関東地方整備局において2003年に試験施工された遮熱性舗装は、9年経過した2012年時点でも10℃以上の高い温度低減効果があったと報告されています。
施工時の臭気
開発当初の遮熱性舗装にしようされていた遮熱塗料は独特の臭気があり、歩行者や周辺住民の方々の快適性を損なうということで、現在では改良された低臭タイプのものに変更されています。

騒音問題

東京都などでは車両の走行音を抑えることができる低騒音排水性舗装が多く採用されています。この排水性舗装に遮熱塗料を塗布しても騒音が増えることは一切ないことが確認されています。

重交通車道

生活道路
駐車場

歩道

公園・遊歩道

その他

反射した光ってどこに行くの?

反射した光が周囲の壁を温めたりしないの?

遮熱性舗装に再帰性反射がある場合には、太陽エネルギーが来た方向に反射する割合が多く、周辺への影響は無いと言われています。また、再帰性反射が少ない遮熱性舗装でも、反射は鏡のように正反射するのではなく拡散反射なので、入射側の反対側にある建物などを温めたりする可能性は低いと考えられます。
尚、日本のCASBEE(建築環境総合性能評価システム)や米国のLEEDなどでは、建築物の環境負荷を考える上で、敷地内の舗装部分を遮熱性舗装にすることは評価ポイントが加点されることになっており、総合的に環境にやさしい対策と考えられています。

歩いている人が暑くならないの?

遮熱性舗装によって生じる日射反射による歩行者への熱負荷の影響は見られず、路面温度差による輻射熱及び顕熱の違いを体感(暑さ)として感じる傾向にあるようです。
(参照)第27回日本道路会議(2007年)井上氏他
また、被験者の表面温度を測定した結果でも、一般舗装上より遮熱性舗装上の被験者の表面温度の上昇が少ない結果となっています。
(参照)第32回日本道路会議(2017年) 西岡氏他

反射した光ってどこに行くの?

反射した光が周囲の壁を温めたりしないの?

遮熱性舗装に再帰性反射がある場合には、太陽エネルギーが来た方向に反射する割合が多く、周辺への影響は無いと言われています。また、再帰性反射が少ない遮熱性舗装でも、反射は鏡のように正反射するのではなく拡散反射なので、入射側の反対側にある建物などを温めたりする可能性は低いと考えられます。
尚、日本のCASBEE(建築環境総合性能評価システム)や米国のLEEDなどでは、建築物の環境負荷を考える上で、敷地内の舗装部分を遮熱性舗装にすることは評価ポイントが加点されることになっており、総合的に環境にやさしい対策と考えられています。

歩いている人が暑くならないの?

遮熱性舗装によって生じる日射反射による歩行者への熱負荷の影響は見られず、路面温度差による輻射熱及び顕熱の違いを体感(暑さ)として感じる傾向にあるようです。
(参照)第27回日本道路会議(2007年)井上氏他
また、被験者の表面温度を測定した結果でも、一般舗装上より遮熱性舗装上の被験者の表面温度の上昇が少ない結果となっています。
また、被験者の表面温度を測定した結果でも、一般舗装上より遮熱性舗装上の被験者の表面温度の上昇が少ない結果となっています。
(参照)第32回日本道路会議(2017年) 西岡氏他

反射した光ってどこに行くの?

反射した光が周囲の壁を温めたりしないの?

遮熱性舗装に再帰性反射がある場合には、太陽エネルギーが来た方向に反射する割合が多く、周辺への影響は無いと言われています。また、再帰性反射が少ない遮熱性舗装でも、反射は鏡のように正反射するのではなく拡散反射なので、入射側の反対側にある建物などを温めたりする可能性は低いと考えられます。
尚、日本のCASBEE(建築環境総合性能評価システム)や米国のLEEDなどでは、建築物の環境負荷を考える上で、敷地内の舗装部分を遮熱性舗装にすることは評価ポイントが加点されることになっており、総合的に環境にやさしい対策と考えられています。

歩いている人が暑くならないの?

遮熱性舗装によって生じる日射反射による歩行者への熱負荷の影響は見られず、路面温度差による輻射熱及び顕熱の違いを体感(暑さ)として感じる傾向にあるようです。
(参照)第27回日本道路会議(2007年)井上氏他
また、被験者の表面温度を測定した結果でも、一般舗装上より遮熱性舗装上の被験者の表面温度の上昇が少ない結果となっています。
(参照)第32回日本道路会議(2017年) 西岡氏他

いろのはなし – 色の見えるしくみと遮熱塗料

いろのはなし – 色の見えるしくみと遮熱塗料

今日は、色の見えるしくみと遮熱塗料を考えてみましょう。

モノが見えるには光源必要

真っ暗な世界、光のない空間では何も見えません。
夜になると、車の色や道を歩いている人が見にくくなる事からも分かりますね。また、真っ暗な部屋では色も形も何もかもが見えない。皆さんも経験があるでしょう。つまり、私たちがモノやその色を見るためには光(光源)が欠かせないのです。
光が反射して初めて色が見える
光源からの光(太陽、蛍光灯やLEDの光など)が物体を照らすと、物体の表面ではその光の一部を吸収し残りを反射します。反射された光が私たちの目に入ると、それが情報として脳に伝わります。脳がその情報を受け取ると、はじめて私たちは「モノを見た」と感じるのです。そうです、実は光が反射したモノを見せられているとも言えるのです。

ニュートンが発見した「分光」とは

太陽の光をプリズムに通すと、虹のような色の帯ができることをご存知の方は多いでしょう。このことを発見したのは、万有引力を発見したニュートンです。この色の帯をスペクトルと呼び、光をスペクトル(波長成分)に分けることを「分光」といいます。
スペクトルは赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の順に並んでいますが、これはそれぞれの波長の長さが違うために生じる現象です。私たちがモノや色を見るために必要な光は、380~780nm(ナノメートル・10億分の1メートル)という範囲の電磁波で可視光波長領域ともいいます。この光は、性質の違いによって、大まかに短波長、中波長、長波長の3つにわける事ができます。

私たちは、
・短波長が多い光を見た時に「青い」と感じます。
・中波長が多いと「緑」を感じます。
・長波長が多いと「赤」を感じます。

例えば光がリンゴにあたると、リンゴの表面では短波長(青)の光と中波長(緑)の光が吸収され、長波長(赤)の光が多く反射されます。この長波長(赤)の多い光が目にとどくことで、私たちは目の前にあるリンゴが「赤い」と感じるのです。

弊社では、遮熱塗料を製造販売しておりますが、一般塗料と同じ色相に配合設計しております。故に380~780nmの光の反射は同じです。ここで反射に違いがあると私たちの目には異なった色相と感じてしまうのです。
しかし、遮熱塗料は780nm以降の近赤外線波長領域で大きく光を反射し、塗膜への熱エネルギーを低く抑えているのですよ。

遮熱塗料を屋根に塗る効果について

遮熱塗料を屋根に塗る効果について

遮熱塗料 どこに塗るのが効果的?

遮熱塗料は、太陽光を反射して温度上昇を抑制することができる特殊な塗料です。
太陽光を浴びる時間が長ければ長いほど、それだけ遮熱効果も期待できます。
それでは、どこに塗るのが一番効果的でしょうか。
一日中太陽光を浴び続ける場所、、それは、建物の屋根です。
倉庫の屋根に遮熱塗料を使うことで暑さ対策が可能

屋根は高い所にあり、太陽光を遮るものが無いため、遮熱塗料を塗るには絶好の場所です。
また、屋根は常に太陽光や風雨に晒され続ける過酷な場所であり、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
遮熱塗料は錆止め効果や延命効果(耐久性)も兼ね備えているため、屋根に遮熱塗料を塗ることで建物の資産価値を高め、効率の良く暑さ対策も出来てしまいます。
このように、遮熱塗料 × 屋根というのは非常に相性が良く、「どうせ塗るなら遮熱塗料」という風潮がここ最近強まっているように思えます。

室温はどのくらい下がる?

建物の構造や建物内部の環境にもよるため一概には言えませんが、目安として「外気温+1~2℃程度」にまで下げることは可能であると言えます。
夏場に外から帰ってくると部屋の中が「モワ~っ」と暑く感じることがありますが、その「モワ~っ」が無くなるイメージです。
塗装だけで室温が外気温よりも低くなるということはありませんが、「モワ~っ」を無くした状態からエアコンで冷やし始めるだけでもエアコンは無駄な力を使わずに済み、何よりエアコンの効きが格段に上がります。

屋根の色は何色を選ぶのが良いの?

突然ですが、、
真夏の昼下がり、営業マンのあなたは汗だくで外回りを終え、会社に戻る途中に誰もいない灼熱の公園を横切りました。そこには、白いベンチと黒いベンチがありました。あなたならどちらのベンチに座りますか?
正解は「ベンチになど目もくれず即帰社」ですが、どちらかに座らなければならないとしたら、私は直感的に見た目が涼しそうな白いベンチを選ぶと思います。
この感覚は正しく、色は薄いほど光を反射し、濃いほど光を吸収し熱を帯びます。
塗料も例外ではなく、白色を塗れば遮熱効果は高いのですが、濃い色を塗った場合は光を吸収してしまうので、あまり遮熱効果は期待できません。
屋根は外壁よりも人目につきにくいため、白色が採用されるケースが多いです(戸建て住宅を除く)。
しかし、塗装した屋根に建物が隣接していると、場合によっては白色を塗った屋根の照り返しで眩しく感じてしまうケースもあります。
そこで、少し色をつけて眩しさを和らげることがあるのですが…
色の話は次回のコラムで!

遮熱塗料の有効性と持続性

遮熱塗料の有効性と持続性

1. 日射熱による建物や設備の内部温度上昇の抑制

遮熱塗料は日射熱による熱の侵入を防ぎ、建物や設備内部の温度を抑えることができます。これにより、快適な居住・作業環境を維持できます。

2. 外壁や屋根の冷房負荷の削減

遮熱塗料は日射熱を反射し、建物表面からの熱の侵入を抑えるため、夏場の冷房負荷を軽減できます。エアコンの使用を減らすことでエネルギーコストを削減することが可能です。

3. 節電効果によるCO2排出量の削減

遮熱塗料の効果により、冷房装置の使用頻度や負荷が低減するため、電力消費を削減することができます。これはCO2の排出量の削減に有効です。

4. 室内の快適性の向上

遮熱塗料により、建物内部の温度がより一定になり、熱い夏でも快適な居住環境を提供できます。

5. 長期的な効果と耐久性

遮熱塗料は耐久性が高く、長期間にわたって効果を発揮します。一度の施工で長期に亘って効果が持続します。

6. 環境への配慮

遮熱塗料は環境にやさしい塗料の一つであり、熱を反射させることでヒートアイランド現象を緩和する助けになります。地球温暖化への対策として重要な技術です。

7. メンテナンスコストの削減

遮熱塗料を使用することで建物の外壁や屋根の劣化が緩和され、メンテナンスコストを削減できます。塗り直しの頻度が低減するため、維持費用が抑えられます。

8. 太陽光発電システムとの相乗効果

遮熱塗料を外壁や屋根に施すことで、太陽光発電システムの発電効率を向上させることができます。建物表面の高温化が低減されるため、太陽光パネル周辺の外気温が下がり、発電効率が向上します。

9. 冷房機器の寿命延長

遮熱塗料の効果により、建物内部の温度が一定に保たれるため、冷房機器の過度の使用や負荷が軽減されます。これにより、冷房機器の寿命を延ばすことができます。

10. 持続可能な社会への貢献

省エネルギー対策や環境への配慮が求められる現代社会において、遮熱塗料は持続可能な建築や交通手段に向けた重要な技術となっています。エネルギー効率の向上に貢献し、地球環境保護に寄与します。

遮熱塗料は汚れてはダメ

遮熱塗料は塗膜表面の日射反射率が高くなることによって、遮熱効果を発揮しています。一部の企業は僅かな断熱性能を元に断熱塗料と称したり、僅かな放射率の高さを元に冷やす塗料と称したりしていますが、遮熱機能の殆どが日射反射率に起因していることが明らかになっています。

塗膜表面が汚れてしまった場合はどうなるのでしょう。太陽光を直接受けるのが塗膜表面ではなく、汚れ物質になってしまうと日射反射率が大幅に低下してしまいます。特に工場や車両の燃焼に伴って発生する油煙は太陽光に含まれる赤外線を特に吸収するので、遮熱効果が激減してしまいます。

汚れやすい遮熱塗料のユーザーからは、塗装直後は室温が下がるのが実感できたが、翌年には効果が実感できなくなってしまったという残念な報告を受けることになってしまいます。

特に水系塗料は塗装直後に塗膜が撥水性を帯びてしまうことが多く、直ぐに汚れてしまいます。

キレイが続くミラクールAQクリア

遮熱塗料の効果を長く保つためには、汚れにくさが重要な要素ですが、遮熱塗料の性能を長期間維持するために新しい解決策を見つけました。それは塗膜表面を親水性にして「汚れにくくすること」です。

ミラクールの新商品「AQクリア」は、塗膜表面を「撥水性」から「親水性」に変える特殊な技術を使用しています。従来の遮熱塗料は汚れると効果が低下してしまいますが、「AQクリア」は汚れにくくなることで、長期間にわたって遮熱効果を保ち、美観も維持することが可能となります。

この親水性の素材により、「AQクリア」は「セルフクリーニング」が可能となります。屋根や壁に塗ることで、汚染物質を雨水が洗い流してくれるのです。これにより、工場や倉庫など大きな建物の屋根や壁の汚れを掃除する手間を省き、遮熱効果を長期間にわたって維持することができます。

「AQクリア」は透明な塗料のため、どこに塗ったかが分からないという問題に直面しましたが、着色することで、塗った箇所がわかりやすくなる方法を見つけました。着色剤は人畜無害の食紅を使用しています。施工後には降雨あるいは紫外線によって、色は透明に変化します。

この新商品は国連機関にも採択され、ケニアの難民キャンプにも使用されています。AQクリアを塗装した屋根に降った雨を採取して分析した結果、日本およびケニアの水道水基準を満たすことが確認されています。安全性にも配慮され、体に害がないことが確認された製品として世界基準で社会的な責任を果たしていると言えます。

「AQクリア」は、ミラクールの高い遮熱効果をより長く維持したいと考えるお客様に好評であり、遮熱塗料を選ぶ際の必須アイテムといえます。

最後に、「AQクリア」は特許権も取得しており、進歩性と新規性のある製品であることがわかります。汚れにくさというシンプルで効果的な特長が、多くのお客様の課題解決に役立つ遮熱塗料として注目される理由となっています。

工業製品向けの焼付用遮熱塗料

工業製品向けの焼付用遮熱塗料

焼付塗料とは

今回は塗料の塗装作業者の立場になって考えてみます。 建築物や道路に塗装作業を行う場合、塗装作業者は天気予報と睨めっこしながら、施工計画を立てなければなりません。雨が降っていれば屋外での塗装作業は勿論出来ません。また、塗料は塗装後に充分な乾燥養生時間を経て、完成した塗膜となりますので、塗装直後に雨が降ることが予想されれば、作業をすることは出来ないでしょう。道路用の塗料については速乾タイプのものもありますが、天気予報はやはり無視できません。
一方、工場の塗装ブースでの塗装作業者の場合はどうでしょうか。室内の温度・湿度管理が施されたブースで作業を行うので、天気予報を気にする必要はありません。しかし、塗装後の製品の乾燥養生はどうすれば良いでしょうか。塗装作業は流れ作業で出来ても、乾燥養生の場所を確保しなければなりません。また、乾燥養生時間は次工程に進めない為、生産効率の低下に繋がります。これらの問題を解決するため、工場の塗装ブースで多く採用されているのが焼付塗料となります。焼付塗料とは文字通り、100~200℃程度の高温で焼付乾燥をさせることが出来ます。塗料の種類にもよりますが、概ね20~30分程度の焼付乾燥で強固な塗膜が完成しますので、大規模な塗装養生場所も不要で、速やかに次工程に移ることが出来ます。

塗装ブース例

焼付用遮熱塗料

遮熱塗料の多くは建築物、道路に施工されてきたことが多いのですが、近年では配電盤筐体への施工実績も多くなってきています。配電盤内に組み込まれている電子部品は発熱しつつも、自らは熱に弱いという性質があります。それに追い打ちを掛けるように、夏場の太陽光は配電盤筐体を激しく熱します。このような配電盤筐体に遮熱塗料を塗装することで、盤内の温度上昇を抑制し、電子部品の劣悪な環境を改善することが期待出来ます。大型の配電盤になると空調機によって温度管理をしているものもあるくらい、盤内の温度上昇を抑制することは大きな課題となっているのです。配電盤筐体は工場の塗装ブース内で焼付塗装されており、ここに焼付用の遮熱塗料が採用されているのです。
その遮熱効果はどの程度あるのでしょうか。小型の配電盤筐体にランプ照射を行い、遮熱塗料の効果を計測したものを下記に示します。同色の一般的な焼付塗料と比較した場合、天板裏面で約15℃、筐体空間内で約5℃の温度低減効果が確認出来ました。配電盤の多くは鉄製であり、塗装仕上げは必須工程となります。つまり、特別に製造工程を追加しなくても今まで使っていた塗料を変えるだけで、高性能な配電盤筐体を製造することが出来るのです。
ランプ照射による遮熱塗料と一般塗料の温度測定結果:色5Y7/1 焼付用遮熱塗料「工業用ミラクール」はこちらから 工業用製品|ミラクール

粉体塗料

焼付塗料のひとつとして粉体塗料があげられます。文字通り粉末状の塗料であり、静電気で被塗物に付着し、焼付乾燥されるものです。粉体塗料は環境対応型の塗料とも呼ばれています。一般的な焼付塗料に含まれる有機溶剤(VOC)が含まれていないこと、また被塗物に付着しなかった塗料を回収・再利用できるので、材料ロスが少ないことがその要因として挙げられます。塗料技術としては比較的新しいイメージを持たれることが多いのですが、日本では約50年の歴史があります。製造方法は液体型の塗料とは全く異なり、ペレット成形したものを所定の粒度に粉砕していくという方法がとられています。そのため、一般的な液体塗料と比較すると、少量生産や短納期への対応が難しくなっています。 それを差し引いても、塗装作業に熟練を要さずに厚膜を得られやすいという性質は高く評価されています。 粉体塗料「ミラクールP01」はこちらから

最近の新用途

遮熱塗料は夏の暑さ対策として使用する塗料です。焼付塗料は一般的な工業製品に使われる塗料です。これらを踏まえて贔屓目に考えると、新しい用途は無限大にあると考えられます。
デジタルサイネージです。こちらも精密電子機器がたっぷりと詰まっています。今後のIT社会に向けて、より多くのサイネージが設置されていくのではないかと考えられます。灰色の部分に遮熱塗料が塗られています。

モニュメントです。公園の入り口付近に設置されているものですが、子供たちが手を触れても熱くないように配慮されています。全面に遮熱塗料が塗られています。

アルミ製カーテンウォール外壁に遮熱塗料が塗られています。この建物はゼロエネルギービルです。 工業製品向けの焼付用遮熱塗料に関するお問い合わせは、株式会社ミラクールまでお気軽にお寄せください。
屋根塗替えのタイミングと塗料の耐久性

屋根塗替えのタイミングと塗料の耐久性

一般的に塗替えのタイミングとして、チョーキングという現象(指で塗膜をなぞると塗料の粉が付く現象)がありますが、屋根の場合は自分で確認できるものではありません。そこで、今の建物が築何年なのか、前回の塗り替えから何年経ったのかをうっすらと覚えておく必要があります。今回が2回目の塗り替えの場合、前回に塗った塗料の種類によって塗替え時期が異なりますので、下記を参考にしてみてください。

各塗料の耐久性の目安

・ウレタン系樹脂塗料:7~9年
・シリコン系樹脂塗料:10~12年
・フッ素系樹脂塗料:10~15年
・無機塗料:15~20年

初めての塗り替えの場合も、2回目以降の塗り替えの場合も、まずは10年を一つの目安にプロに点検をお願いしてみるのもいいかもしれません。

チョーキングの判定方法

チョーキング(白亜化)とは仕上塗材表面の樹脂分が劣化し、充填材が離脱しやすくなり表面が粉末状になる現象ですが、その程度はJIS K 5600-8-6 に規定されている方法によって評価できます。
塗膜表面に貼り付けた透明な粘着テープを剥がし、テープに付着した微粉を、微粉が目立つ背景色の上で目視で観察し、標準図版と比較して等級を判定するというものです。
当社の塗料に使用している樹脂には、アクリル、ウレタン、シリコン、無機、MMA、ポリウレアなど多岐に亘っています。いずれの樹脂も永久に劣化しないわけではなく、使用目的や予算によって使い分ける必要があります。
永遠に劣化しない安価な樹脂があれば良いのですが。