建物の屋根や壁で太陽の直射日光が当たって暑くなるところには、遮熱塗料が最適なのは明らかです。
では、ガラス窓に塗る遮熱塗料ってあるのでしょうか?
答えはノーでもありイエスでもあるという複雑なものです。
室温の上昇を防ぐ塗料はあります
可視光線を透過しながら近赤外線を吸収するタイプの塗料も遮熱塗料というのであれば、窓ガラス用の遮熱塗料はあるということになります。この種の塗料は近赤外線を吸収することによって、窓ガラスを透過する近赤外線の量を減らして室内温度の上昇を防ぐものです。では、窓ガラス表面の塗料が吸収した近赤外線のエネルギーは何処に行くというと、窓ガラスを熱くすることに使われます。
窓ガラス塗料が室温上昇を抑える仕組み
温度差によるガラス窓割れに注意を
ガラスも温度によって伸縮する性能がありますので、この温度差によってガラス面が歪み、場合によってはガラス窓が割れてしまいます。網入りガラスは、網部分があるために外周の切断面が平滑ではないので、特に割れ易くなると言われています。
近赤外線を吸収するキモの原材料
・ITO(スズ酸化インジウム)
・ATO(アンチモン酸化スズ)
・LaB6(六ホウ化ランタン)
・CWO(セシウム酸化タングステン)
LaB6とCWOは住友金属鉱山株式会社が開発した素材のようです。
http://www.smm.co.jp/products/material/ink/
これらの素材を塗料に混合することによって、可視光線の透過率はある程度確保した上で、近赤外線を吸収する性能を付与することが可能となります。
窓ガラス用の遮熱フィルムはあるのか?
窓ガラス用の(近赤外線を反射するタイプの)遮熱塗料は未だ無いですが、窓ガラス用の(近赤外線を反射するタイプの)フィルムがあります。また、近赤外線を吸収するタイプのフィルムも沢山あります。赤外線を吸収するタイプのフィルムには前述のITOやATOなどのナノサイズの原材料が均一に分散されています。
窓ガラスに塗る遮熱塗料は無い
答えはイエスです。
窓ガラス用の(近赤外線を反射するタイプの)遮熱塗料は未だ無いですが、窓ガラス用の(近赤外線を反射するタイプの)フィルムがあります。また、近赤外線を吸収するタイプのフィルムも沢山あります。赤外線を吸収するタイプのフィルムには前述のITOやATOなどのナノサイズの原材料が均一に分散されています。
近赤外線を反射させるフィルム
1.真空蒸着
多くのメーカーが採用している技術です。ハーフミラーのように反射させるフィルムは可視光線の透過が少なく、透明性に欠けることが多いようです。
(下記詳細は、ウィキペディアより引用)
真空にした容器の中で、蒸着材料を加熱し気化もしくは昇華して、離れた位置に置かれた基板の表面に付着させ、薄膜を形成するというものである。蒸着材料、基板の種類により、抵抗加熱、電子ビーム、高周波誘導、レーザーなどの方法で加熱される。蒸着材料は、アルミニウム、クロム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケルなどの金属類と光学特性を有する薄膜(光学薄膜)では主にSiO2、TiO2、ZrO2、MgF2などの酸化物やフッ化物を使用する。蒸着は金属の他、樹脂や硝子等にも利用され、紙などにも処理が可能である。
2.スパッタリング
帝人フロンティア株式会社のレフテルに代表される透明性を維持しつつも、近赤外線を効果的に反射するタイプのものです。
(下記詳細は、ウィキペディアより引用)
真空チャンバー内に薄膜としてつけたい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させた希ガス元素(普通はアルゴンを用いる)や窒素(普通は空気由来)を衝突させる。するとターゲット表面の原子がはじき飛ばされ、基板に到達して製膜することが出来る。
原理も単純であり「スパッタ装置」として各種あることから、様々な技術分野で広く使われている。 最近では、高品質の薄膜が要求される半導体、液晶、プラズマディスプレイ、光ディスク用の薄膜を製造する手法として用いられている。
3.マルチレイヤー
4. 熱線再帰性
近赤外線を吸収するフィルム
・ITO(スズ酸化インジウム)
・ATO(アンチモン酸化スズ)
・LaB6(六ホウ化ランタン)
・CWO(セシウム酸化タングステン)
防犯や怪我防止の効果
窓ガラスを割られて侵入されるのを防いだり、地震や飛散物によるガラスの割れ・飛散を防ぐことが期待できますので、怪我の防止にも役立ちそうです。飛散防止効果はフィルムの強度・厚さによって違いがありますので、メーカーの仕様書を確認してください。
飛散防止の窓
最近は異常気象により竜巻による被害も毎年のようにニュースになっています。窓ガラスが割れると、そこから強風が一気に家の中に吹き込みますので、最悪の場合には屋根が飛ばされたりもします。窓ガラスが割れたとしても、フィルムが飛散を防いで切れれば、被害を最低限に抑えることが可能かも知れません。
選択肢はいろいろ
どのフィルムが最適なのかは、求める透明性と近赤外線カット率などを総合的に考える必要性があります。
・外の景色は見えなくても、室温上昇を防ぎた い?
・外の景色はこれまで通りに見たいので、室温上昇の抑制は最低限でも止む無し?
・外の景色も見たいし、室温上昇も抑えたいので、双方のバランスが取れた商品が良い?
等々、先ずは要望内容を整理しましょう。
そして、ネットやカタログで商品情報を集めて、各社製品の性能と価格を比較検討して、どの製品を購入するかを決めては如何でしょうか。