遮熱塗料の標準化について

「遮熱塗料の標準化」

標準化ってなに?

3月5日(土)14:00-15:00 BSフジにて放映された「みんなが得するビジネス講座」という番組で、標準化の話が面白くかつ分かり易く説明されていました。

標準化の始まりは、アメリカのある街で大火事が発生した時に、周辺の街から多数の消防車が応援に来たのに、消防ホースの接続方法が統一されていなかったために、全く役に立たず大惨事になってしまったことがきっかけとのことでした。

遮熱塗料の標準化(その1)

高日射反射率塗料の性能の肝である日射反射率を測定する方法は、JIS K 5602「塗膜の日射反射率の求め方」で規定されています。そして、この規格を元にISO 22969「Paints and varnishes-Determination of solar reflectance」が定められています。

遮熱塗料の性能の殆どは、日射反射率に依存しているのですが、世の中には熱を伝えない断熱塗料とか、熱を放射して冷やす放熱塗料とか、熱を消してしまうという消熱塗料など、使用者に対して混乱や不信感を与えている可能性があると思われます。

遮熱塗料の標準化(その2)

そのような混乱を解決するために、塗膜を通過する熱エネルギーを熱流計で総合的に測定する方法が考案され、JIS K 5603「塗膜の熱性能-熱流計法による日射吸収率の求め方」という規格で客観的かつ論理的に測定できるようになりました。

一般社団法人 日本塗料工業会では遮熱機能とは「日射反射機能」・「断熱機能」・「放熱機能」の総和との認識のもと、JIS K 5603による日射吸収率の測定を行った遮熱塗料の登録制度を行っていますが、日射反射機能以外での申請は皆無ということです。裏を返せば、断熱機能と放熱機能だけでは日射吸収率を抑えることができないということです。因みに、熱を消すという消熱塗料は物理学上あり得ないことであり、審査の対象にもなっていません。https://www.toryo.or.jp/jp/anzen/reflect/reflect-leaflet-2021.pdf

(一般社団法人 日本塗料工業会の関連ウェブサイト)

「みんなが得するビジネス講座」でグリーン建材②として高日射反射率塗料が紹介されていました。尚、グリーン建材①は節水トイレでした。

JIS K 5603は日本独自の規格ですが、もしISO規格にできれば世界的な標準化を図ることが可能になり、遮熱塗料を世界に広める絶好のチャンスとなり得るかも知れません。

いろのはなし – 色の見えるしくみと遮熱塗料

今日は、色の見えるしくみと遮熱塗料を考えてみましょう。

モノが見えるには光源必要

真っ暗な世界、光のない空間では何も見えません。
夜になると、車の色や道を歩いている人が見にくくなる事からも分かりますね。また、真っ暗な部屋では色も形も何もかもが見えない。皆さんも経験があるでしょう。つまり、私たちがモノやその色を見るためには光(光源)が欠かせないのです。

光が反射して初めて色が見える

光源からの光(太陽、蛍光灯やLEDの光など)が物体を照らすと、物体の表面ではその光の一部を吸収し残りを反射します。反射された光が私たちの目に入ると、それが情報として脳に伝わります。脳がその情報を受け取ると、はじめて私たちは「モノを見た」と感じるのです。そうです、実は光が反射したモノを見せられているとも言えるのです。

ニュートンが発見した「分光」とは

太陽の光をプリズムに通すと、虹のような色の帯ができることをご存知の方は多いでしょう。このことを発見したのは、万有引力を発見したニュートンです。この色の帯をスペクトルと呼び、光をスペクトル(波長成分)に分けることを「分光」といいます。
スペクトルは赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の順に並んでいますが、これはそれぞれの波長の長さが違うために生じる現象です。私たちがモノや色を見るために必要な光は、380~780nm(ナノメートル・10億分の1メートル)という範囲の電磁波で可視光波長領域ともいいます。この光は、性質の違いによって、大まかに短波長、中波長、長波長の3つにわける事ができます。

  • 私たちは、短波長が多い光を見た時に「青い」と感じます。
  • 中波長が多いと「緑」を感じます。
  • 長波長が多いと「赤」を感じます。

例えば光がリンゴにあたると、リンゴの表面では短波長(青)の光と中波長(緑)の光が吸収され、長波長(赤)の光が多く反射されます。この長波長(赤)の多い光が目にとどくことで、私たちは目の前にあるリンゴが「赤い」と感じるのです。

実は光が反射したモノを見せられている
実は光が反射したモノを見せられている

弊社では、遮熱塗料を製造販売しておりますが、一般塗料と同じ色相に配合設計しております。故に380~780nmの光の反射は同じです。ここで反射に違いがあると私たちの目には異なった色相と感じてしまうのです。

 

しかし、遮熱塗料は780nm以降の近赤外線波長領域で大きく光を反射し、塗膜への熱エネルギーを低く抑えているのですよ。